2025.11.25
資産形成
こども支援NISAとは?学資保険との違いと教育資金づくりの新常識
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目次
Toggle「子どもの教育資金、ちゃんと貯められるかな…」そう不安に感じている方は少なくありません。金融庁では、「子ども支援NISA」として未成年も利用できる新制度の創設を検討しています。2026年度の税制改正でNISAの対象年齢が撤廃され、すべての世代が利用できる見通しです。
本記事の要約
金融庁が検討中の「こども支援NISA」について、その概要と、従来の教育資金準備の定番である学資保険との違いを比較解説します。非課税メリットや元本割れリスクなどの特徴を見比べ、ジュニアNISAからの変更点や最新の制度動向も紹介。インフレ時代に教育資金を効率的に準備し、子どもの将来の選択肢を広げるための新常識を学びましょう。
教育資金はどのくらい必要?
一口に教育資金といっても、必要な金額は家庭により異なります。ひと昔前までは子ども1人に1,000万が必要と言われてましたが、最近は3,000~4,000万円が必要とも言われています。
最新調査結果から見る教育費の実態
幼稚園から大学まで、全て公立に通う場合には約1,000万円、全て私立に通う場合は約2,600万円の学費がかかります。ただし、この金額は、学校の授業料や教科書代を中心とした学費であり、食費・洋服代・医療費などの養育費は含まれません。さらに、一人暮らしをする場合は、家賃などが上乗せとなるため、想定していたよりも支出が増えるケースが多いです。

「こども支援NISA」はどんな内容?
こども支援NISAは、未成年でも非課税で長期の積立投資を行える仕組みとして構想されています。その狙いは、子どものうちから資産形成を始めやすくし、金融教育の機会を増やすこと。金融庁の要望段階ではありますが、今後の国会審議で具体化が期待されています。
NISAの基本
NISAとは、投資で得られる利益にかかる税金がかからない国の制度。少ない元手でコツコツと時間をかけて資産を増やすのが特徴です。現行のNISAは“つみたて投資枠”と“成長投資枠”の2つがあり、目的に応じて使い分けられます。2024年の制度改良により利用者数が増加しています。2025年6月末には2,696万口座が開設され、国民の4.5人に1人が利用している状況です(金融庁調べ)。

こども支援NISAのメリット・デメリット
NISAの強みは、利益に税金がかからないため、時間をかけてお金を増やしやすいことです。そのため、幼い頃から始めることで、18歳を迎えるまでの長い時間を資産形成に使えるのは大きなメリットです。例えば、0歳から毎月2万円を複利3%で積み立てれば、大学入学時には約150万円以上の利益が生まれる計算に。時間を味方につけることで、まとまったお金が必要になる進学時などに備えることができます。
| 年齢 | 月額積立 | 複利 | 18歳時の資産目安 |
|---|---|---|---|
| 0歳 | 2万円 | 3% | 約578万円 |
| 3歳 | 2万円 | 3% | 約459万円 |
| 6歳 | 2万円 | 3% | 約350万円 |
デメリットは、元本割れのリスクがあること。NISAは、投資した資金が減少し、当初の元本を下回る可能性があるので、分散投資の対策をして慎重に運用する必要があります。また、制度の内容が途中で変更になる可能性もゼロではありません。
ジュニアNISAはなぜ終了した?
こども支援NISAの前身として「ジュニアNISA」がありました。しかし、18歳まで原則引き出せないという制限がネックになり、利用者が伸び悩みジュニアNISAは2023年12月に終了。そのため、こども支援NISAでは、必要時に引き出せるよう設計される可能性があります。そして、より実用的な制度になることが期待されています。
| 比較項目 | ジュニアNISA | こども支援NISA(案) |
|---|---|---|
| 対象年齢 | 0〜19歳 | 0〜17歳(18歳未満) |
| 非課税枠 | 年間80万円まで | 年間上限未定(つみたて重視) |
| 運用商品 | 株式・投資信託など | 投資信託中心になる可能性 |
| 引き出し制限 | 18歳まで原則引き出し不可 | 教育目的での引き出しは可の方向 |
「こども支援NISA」と「学資保険」の違い
教育資金の準備には教育ローンや祖父母の援助、学資保険などさまざまな選択肢があります。金利が高かった時代には、学資保険の利用が一般的でした。
学資保険とはどんな制度?
学資保険とは、子どもの教育資金を決まったタイミングで決まった額を受け取れるよう設計された貯蓄型保険です。契約者(親)に万が一のことがあっても保険料が免除され、子どもの進学時期に満期金を受け取れるという特徴があります。
NISAとの違いは以下の通りです。
| 学資保険 | こども支援NISA | |
|---|---|---|
| 性質 | 保険(固定) | 投資(変動) |
| 目的 | 貯蓄+保障 | 資産を増やす |
| 税制 | 一部課税対象 | 非課税 |
| 元本割れのリスク | 中途解約しなければ元本割れのリスクはない(ただし、契約内容による) | 相場の変動により元本割れのリスクがある |
時代に合わせた見直しポイント 学資保険は今も必要?
貯蓄と保障を備えた学資保険ですが、「学資保険は時代遅れ」という声も目立ってきています。その理由は、返戻率の低さとインフレに対応できないため。近年の低金利の影響で、支払った保険料の総額よりも受け取れる金額がわずかに多い程度で、昔ほど有利ではない商品が増えています。
また、学資保険は契約時に「将来いくら戻るか」があらかじめ決まっているため、途中で物価が上がっても、その分は増えません。インフレが進むと実質的な価値が目減りします。加えて、基本的には支払った保険料の総額よりも、満期保険金や祝金として受け取れる総額は多くなりますが、途中で解約した場合は支払った金額以下となることも。
「学資保険=子どものための商品」と思われがちですが、実は“親の安心”を買う仕組みともいえます。本当に子どもの未来を考えるなら、もう少し自由度の高い選択肢を持っておくのもひとつです。

「こども支援NISA」の注意点と失敗しないポイント
「こども支援NISA」は長期でコツコツと資産を育てる仕組みですが、注意点もあります。 株式や投資信託を運用するため、市場の変動によって一時的に資産が減ることもあります。
こども支援NISAで教育資金は準備できる?
こども支援NISAは、多少のリスクをおかしても教育資金を準備したい人向きの制度です。教育資金を確保するほど、子どもの選択肢は広がります。ただ、市場変動によってはマイナスになることもあり、まとまったお金が必要なときに元本割れしている可能性もあります。そのため、ある程度の資金は別に確保した上で、余剰資金をこども支援NISAにまわすと、リスクを最小限にできます。
こども支援NISAは贈与税の対象となる?
親や祖父母が子どもの証券口座に入金する場合、「贈与」とみなされ、年間110万円を超えるとその超過分に対して贈与税がかかります。「教育資金贈与の特例」を活用すれば、最大1,500万円まで非課税で支援できるので、今後決まる制度内容を確認し、損をしないようにしましょう。

こども支援NISA導入のスケジュールと今後の流れ
こども支援NISAはまだ制度検討段階ですが、実現に向けた動きは着実に進んでいます。
<今後の流れ>
2025年末:新制度の方向性公表
2026年度:国会審議・法改正
2027年度:制度スタート(見込み)
制度が始まってから慌てて準備するのではなく、今のうちに制度の勉強やNISAの基本を理解しておくことが重要です。家計の見直しや投資資金の捻出、専門家への相談など、事前にできることはたくさんあります。
お金の使い方を見直し、将来の選択肢を広げる
こども支援NISAは、子どもの将来のための制度であると同時に、親が“お金と向き合うきっかけ”でもあります。「教育資金をどう準備するか」は、正解がひとつではありませんが、昔の常識のままではこれからの時代に適応できません。古いスマホを買い替えるように、 お金への向き合い方もアップデートしていく時代です。
まずは不要な支出をなくし、家計の土台を整えることから始めましょう。行動することで、子どもの可能性を広げる選択ができるはずです。
FAQ
Q1.「こども支援NISA」と「学資保険」の最も大きな違いは何ですか?
A. 最も大きな違いは「性質」と「インフレへの対応力」です。こども支援NISAは市場で運用される「投資(変動)」であるため、インフレが進んでも資産価値の上昇が期待できる一方で、元本割れのリスクを伴います。これに対し、学資保険は契約時に将来の受取額が決まる「貯蓄+保障(固定)」であるため、元本割れリスクは低いが、返戻率が低く、インフレが進むと実質的な価値が目減りしてしまうという違いがあります。
Q2.こども支援NISAで教育資金を準備する際の注意点や、失敗しないためのポイントは何ですか?
A. 最大の注意点は元本割れのリスクがあることです。子どもの進学時期など、まとまったお金が必要なタイミングで市場変動により資産がマイナスになっている可能性もゼロではありません。失敗を防ぐポイントとしては、教育資金の全てをNISAに頼らず、生活費と切り離した余剰資金を充てること、また、分散投資によってリスクを最小限に抑えることが重要です。
Q3.「こども支援NISA」はまだ検討段階ですが、制度開始までに私たちが今できる準備は何ですか?
A. 制度が始まってから慌てないよう、今のうちに「制度の基本」の理解と「家計の土台」の整備が重要です。具体的には、NISAの仕組みや投資の基本を学び、家計の見直しによって不要な支出をなくし、投資に回せる余剰資金を捻出しておくことです。これらの準備をしておくことで、制度開始時にスムーズに資産形成をスタートできます。
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